第48回ホリスティックフォーラム(大阪)

平成10年9月27日(日)


ホリスティック医療における
音楽療法の役割
音楽の治療道具としての特性
荻野音楽研究所所長  荻野 裕子
 
 
音楽療法とは何か? あらゆる人が満足するような答えはない。 それというのも、音楽療法は伝統的な医学的治療に比し、医療、福 祉、教育、保健等様々な領域にまたがっての幅広い性質をもっている ため、その実体は多様な様相を呈しているからだ。したがって、どのような モデルで捉えるかによって、内容的にも方法論的にも、かなりの違いが出 てこざるを得ない。今日のところ、音楽療法が発達し浸透していくにつれ、 様々な病気の治療法のなかで音楽療法のモデルやアプローチが開発されている。 
しかし、あらゆる音楽療法においては、音楽それ自体は目的でない。 クライエント自身の潜在的な治癒力を尊重し、それをひき出していくことが大 切なのであって、そのための手段として音楽は活用されているのである。 そこで今回は、“音楽の治療道具としての特性”を生理的、心理的、 社会的側面から述べ、それぞれの要素が実際の現場においてどのように 活用されているかを紹介することによって、音楽療法を概観してみたい。
 
 
荻野音楽研究所所長  荻野 裕子(おぎのゆうこ) 

京都市生まれ。同志社女子大学学芸学部音楽学科卒業。高校時代に、 テレビ番組「KBSテレビ手話教室=手ではなそう」の案内役を半年間 務め、また身障国体用ハンドブックの作成に参加したこと等から、音そのものについて関心を持つようになる。八幡市立男山中学、男山第三中 学校の音楽講師を経て、現在、荻野音楽研究所にて不登校児および発達 障害児領域を中心に音楽療法を実践。 
 また、作編曲家、ステージミュージシャン&音楽プロデューサーとし ても活躍しており、テレビ・ラジオ番組のテーマ音楽やBGM、 CM音楽の作曲や制作を多数手がける。 
 又、大学卒業と同時に、はしだのりひこのアレンジャー兼バンドメン バーとして多数の音楽番組に出演、多数のコンサートツアー、レコーデ ィングに参加。現在も活動中。 
全日本音楽療法連盟会員、Sound Creaters Network CARA代表、日本音楽著作権協会会員。