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第107回 ホリスティックフォーラム大阪   <2012.1.29>

アントロポロゾフィー医学

 

講師:浦尾 弥須子 (川崎市立井田病院 耳鼻咽喉科部長)

 

 日本でルドルフ・シュタイナーはシュタイナー教育の創始者として有名ですが、本来彼は思想家として位置付けられてきました。

 このシュタイナーの提唱したアントロポゾフィー(日本では「人智学」とも称されてきました)の考えは現在、教育のみではなく、建築、経済、社会学、芸術、そして薬学や医学の分野にまで広く応用されています。

 アントロポゾフィー医学はドイツ・スイスを中心に、現在世界60カ国以上で実践され、たくさんの患者さん達に素晴らしい治療効果をもたらし、理想的な統合医療モデルの一つとして注目されています。

 今回、この新しい医学の理解に必要なアントロポゾフィーの世界感、人間観をまず簡単にご理解頂いた上で、アントロポゾフィー医学とは何か、現代の医療現場での使われ方を知って頂きたいと思います。

 対象を肉体に絞り、唯物論的ではあるものの、正確で客観性のある優れた現代西洋医学的方法論を否定したり捨てたりすることなく、これにアントロポゾフィー医学の精神や霊性を持った人間全体を見ていく視点や方法論を組み合わせていく事で、車の両輪のようにお互いが補い合いながら理想的な統合医療に発展していく様を想像して頂きたいと思います。

 

プロフィール 浦尾 弥須子(うらお やすこ)

東京生まれ。東京女子医大を卒業後、慶應義塾大学耳鼻咽喉科学教室に入局。耳鼻咽喉科、中でも頭頚部外科を専門とする。2004年、済生会神奈川県病院を辞して渡独。シュツットガルト郊外の基幹病院に付属するオイゲン・コリスコアカデミーでアントロポゾフィー医学を学ぶ。2008年に帰国後、川崎市立井田病院耳鼻咽喉科部長。共訳に「内なる治癒力」(創元社)、監修に「ベーシックテキスト 補完・代替医療」(じほう)など。